「医業承継・医療経営についての医師アンケート」を実施し、医師の開業・医療経営観を調査
医療経営支援を行う株式会社エムステージマネジメントソリューションズ（東京都品川区、代表取締役：田中宏典）は、「医業承継（医療機関の事業承継・M＆A）・医療経営についてのアンケート調査」を実施し、医師441名より回答を得ました。（調査期間：2022/3/9〜2022/3/19）
＜調査結果のサマリー＞
・医療機関の開業や廃業時の選択肢として、「医業承継を知っている」医師は7割超。
・希望・関心のある開業方法については、「医業承継」が最も多い。
⇒医業承継が医師に広く認知され、開業の手段として一般的になってきている。
・医療機関の譲渡（売却）を検討する最も大きな理由は「後継者不在」。「他のことがやりたくなった」等、医師の職業選択の自由の広がりも感じる結果に。
・今後の医療経営が厳しくなると感じている医師は85%。
・今後の医療経営に求められるものに、オンライン等の多様な診療をあげる回答が多数。
1. 医療機関の開業や廃業時の選択肢として、「医業承継を知っている」医師は7割超
医療機関の開業や廃業時の選択肢として、医療機関の事業承継・M＆Aである医業承継を知っているかについて質問したところ、72%が「知っていた」と回答しました。回答者*¹の約9割が勤務医でありながらも広く認知されており、医師の中で医業承継が一般的になってきていることが分かりました。
*¹ 回答者属性の詳細については、リリース下部、調査概要を参照
2. 開業の予定・関心がある医師は5割超
将来的な可能性を含めて、開業の予定または関心があるかについて質問したところ、53%が「開業の予定・関心がある」、47％が「開業の予定・関心がない」と、半数以上の医師が開業の予定・関心があると回答しました。医師のキャリアにおいて、開業への関心度の高さが分かりました。
3. 開業の予定・関心がある医師の、候補となる開業方法として「医業承継」が最も希望されている
「開業の予定・関心がある」と回答した方に、開業の検討にあたり、候補となる開業方法を質問したところ、「医業承継の意向・関心がある」193件、「新規開業の意向・関心がある」128件、「親族・知人の医院を引き継ぐ」54件となり、医業承継の意向が最も多くなりました。「その他」としては、“まだ未定である”等の回答がありました。
4. 医業承継で譲受（買収）を検討する最も大きな理由は「初期費用が抑えられる」
医業承継による医療機関の譲受（買収）の意向・関心があると回答された方に、譲受（買収）を検討する理由を質問したところ、「初期費用が抑えられるから」188件、「開業までの工程や時間を短縮できるから」119件、「かかりつけ患者を引き継げるから」110件、「既にスタッフが揃っているから」61件となりました。
5. 医業承継で譲渡（売却）を検討する最も大きな理由は「後継者不在」
医業承継による医療機関の譲渡（売却）の意向・関心があると回答された方に、譲渡（売却）を検討する理由を質問したところ、TOP3は１位「後継者不在」21件、2位「将来的な経営不安」18件、3位「患者の減少」110件となりました。「他のことがやりたくなった」の回答も多く、医師の職業選択の自由の広がりも感じる結果となりました。
6. 新型コロナ流行以前と比べて、現在も患者の受診控えを感じる医師は72%
新型コロナ流行以前と比べて、現在の患者の受診控えを感じるかどうかについて質問したところ、「そう感じる」29%と「どちらかといえば感じる」43%を合わせて72%の医師が現在も患者の受診控えを感じていると回答しました。
7. 今後の医療経営は厳しくなると感じている医師は85%
今後の医療経営は厳しくなるかについて質問したところ、「そう思う」37%と「どちらかといえばそう思う」48%を合わせて85%の医師が今後の医療経営は厳しくなると回答しました。
8. 今後の医療経営には何が求められるか（自由記述回答より抜粋）
今後の医療経営には何が求められるかについて質問し、110件の自由記述より主な回答をピックアップしました。オンライン診療を中心とした多様な診療スタイルをあげる回答が最も多く、次いで患者ニーズへ対応したサービス展開についての意見が多くあがりました。
| ■オンライン診療/訪問診療/多様な診療スタイル ・オンライン診療など、多様な診療スタイルへの対応 ・オンライン診療、かかりつけ医の徹底 ・訪問、オンライン利用の活性化、診療＋αの新しい形 ・リモート診療や訪問診療を増やす ■付加価値診療/新たな患者サービス ・自由診療 ・保険診療プラスアルファの内容 ・新たな患者サービスに富んだ医療経営を実践する ・診断、治療の他の付加価値やサービスが求められる ・予防医療 ■柔軟な対応/独自性 ・他のクリニックと区別化した医療を提供できるかどうかが大切 ・その時代、その社会状況にすぐに対応して行く病院、クリニック ・診療内容の独自性と魅力のある診療 ・特徴を前面に出すか、オールマイティに対応するかなどと、実地調査能力 ■患者ニーズ対応と効率化 ・患者数が減少傾向になると思われ、患者満足度とコストパフォーマンスのバランスをうまく取ることが求められる ・医療効率と奉仕の心 ・ニーズへの対応、費用の抑制 ・いかに効率良く費用を抑えて良い医療を提供できるかということ ・予約や問診や再処方の効率化 ・人件費削除 AIの積極的活用 ■集患施策 ・スマホに対応したネット広告の充実具合が必要になる ・集患できるサービスやスタッフのレベル向上 ・集患につながる医療機関の特性を出すなど魅力づくり ■対人コミュニケーション ・対人関係構築のスキル ・幅広い教養 ・常に更新された医療内容 病気だけでなく全人的総合医療 ・患者との信頼感 ■行政や社会とのかかわり ・より行政と意思疎通を十分にし、社会性を高めていく必要がある ・地域環境や時節を読む感性 ・医療制度改革など先見の明が必要である ・診療報酬が上がらないと経営は難しい |
・社会的意義が高まる医業承継
社会的な少子高齢化は、医療の担い手不足にもつながっています。特に医療機関の少ない地方においては、院長の高齢化による診療所の閉院によって行き場を失う患者が生まれるなど、医業承継の社会的意義は高まっています。開業を検討する医師においても、少子高齢化や新型コロナによる社会情勢を背景に経営環境が厳しくなっているため、イニシャルコストを抑えて、スタッフや患者様も既に確保できている中で開業できる承継開業を希望する方が増えています。
譲渡（売却）側のニーズも、「後継者がいない」という問題だけでなく、承継を希望される理由はさまざまです。例えば院長の体調不良、資金的な経営難、介護などの家庭事情による引っ越し、親の診療所を継いだが本当は希望していなかった、といったものがあります。開業したものの、自分に経営は合っていないと気づき、譲渡（売却）を希望されるケースもあります。医師の職業選択の自由が広がってきたことによって、医師としてどう生きるか、現在は多くの選択が可能になってきています。
医師のワークライフにおける悩みも解決しながら、地域医療を支える医業承継による開業や事業拡大は、今後も広がっていくと考えられます。
＜社会的意義が高まる医業承継 解説者紹介＞
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ
代表取締役
田中 宏典 （たなか こうすけ）
株式会社エムステージにて、医療機関の採用支援に携わる。医師紹介事業部の事業部長を経て、医療経営支援に特化した株式会社エムステージマネジメントソリューションズを設立。医療経営士1級
＜アンケート調査概要＞
アンケート実施期間：2022/3/9（水）～2022/3/19（土）
有効回答：441名
対 象：医師アルバイト求人サイト『Dr.アルなび』、医師転職求人サイト『Dr．転職なび』に登録する会員医師
回答属性①勤務先：民間病院159名、公的病院62名、大学病院79名、クリニック（開業）30名、クリニック（勤務医）90名、健診施設12名、フリーランス4名、大学・大学院2名、その他3名
回答属性②年齢：20代32名、30代150名、40代131名、50代92名、60代34名、70代2名
回答属性③地域：北海道19名、東北28名、関東170名、中部59名、近畿104名、中国11名、四国9名、九州沖縄41名
回答方法：WEBを利用したアンケート調査
※引用・転載時のお願い：引用・転載時には「株式会社エムステージマネジメントソリューションズ」と弊社クレジットを明記下さい。
株式会社エムステージマネジメントソリューションズについて
「変化する時代に、進化できる医療経営を」をビジョンに掲げ、経営の最適化に必要なソリューションの提供や、経営人材・医業後継者のマッチングなど、経営に欠かせない戦略構築と人材獲得の双方を支援しています。
＜会社概要＞
商号 ：株式会社エムステージマネジメントソリューションズ
代表者 ：代表取締役 田中 宏典
設立 ：2019年10月
所在地 ：〒141-6005 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower5階
事業内容 ：医業承継Ｍ＆Ａ事業、事務長アウトソーシング事業、集患プロモーション事業
URL ：https://www.mstage-ms.jp/
プレスリリースに関するお問い合わせ先
株式会社エムステージホールディングス
広報：武田
TEL: 03-6867-1170／MAIL: t.takeda@mstage-corp.jp