医師470名に「医師の地域偏在」に関するアンケートを実施
医業承継M&A支援サービスを提供する株式会社エムステージマネジメントソリューションズ(東京都品川区、代表取締役:田中宏典)は、医師470名を対象に「医師の地域偏在」に関するアンケート調査を実施しました。
■調査背景
近年、少子高齢化の進行とともに「地域医療崩壊」が危惧されています。その要因の一つとして挙げられるのが「地域偏在」です。厚生労働省が公表する「人口10万人当たりの医師数(2022年)」のデータを見ると、北海道全体では264.8人である一方、旭川市では412.0人。また、福岡全体では326.9人である一方、久留米市では543.9人など「医師の偏在」が顕著になっています。政府は「財政制度等審議会」で医療機関に支払われる診療報酬の単価について、医師が不足している地域では引き上げる一方、過剰となっている地域では引き下げていくべきだと提言しました。
この「地域偏在」について、当事者となる医師はどのように考え、地方で働くことにどれだけの関心を持っているのでしょうか。「地域別の診療報酬制度」に対する考えと合わせて調査しました。
■調査結果のサマリー
○現場で感じる“偏在”について
・7割以上が医師偏在を感じる
○地方勤務への関心について
・3人に1人が地方勤務に関心あり
・地方勤務に関心ある理由トップは「年収や待遇が向上しそう」
・地方での働き方「開業」も一定数
○「地域別の診療報酬制度」について
・半数以上が効果あり
■現場で感じる“偏在”について
1. 7割以上が地域偏在を感じる
これまでに医師の地域偏在を感じた経験について、「何度かある」と回答した医師は47.2%、「頻繁にある」と回答した医師は29.8%となり、77.0%が医師の地域偏在を感じた経験があるという結果となりました。
○具体的なエピソード(フリーコメント)
・地方で受診先が限られていた、結果、かなり遠方まで通院。(50代/一般内科[訪問診療]/勤務医[民間病院])
・婦人科や小児科の先生が少なく、内科で対応してほしいといわれることもある。(40代/呼吸器内科/開業医)
・特定の診療科について、紹介先が見つからないことがある。(40代/消化器内科/開業医)
・離島施設への応援依頼が大変。(60代/一般内科/勤務医[民間病院])
■地方勤務への関心について
2. 3人に1人が地方勤務に関心あり
地方勤務に対する関心として、「ある程度関心がある」と回答した医師は30.4%、「具体的に検討している」と回答した医師は5.1%となり、35.5%の医師が地方で勤務することに関心がある結果となりました。
3. 地方勤務に関心ある理由トップは「年収や待遇が向上しそう」
地方勤務に関心がある理由について、「年収や待遇が向上しそう」(67)が最も多く、次いで「プライベートの時間を確保しやすそう」(62)、「地域医療に貢献したい」(59)が続く結果となりました。
4. 地方での働き方「開業」も一定数
地方で勤務する場合の働き方のイメージとして、「勤務医」(125)が最も多く、次いで「非常勤医(フリーランス)」(59)、「開業(第三者等からの承継も含む)」(34)が続く結果となりました。
勤務医や非常勤として雇用されて働く考えが多い一方で、自身で開業するイメージをもつ医師も一定数いることが分かりました。
■「地域別の診療報酬制度」について
5. 半数以上が効果あり
財務省が提言する「地域別の診療報酬制度」が導入された場合の、医師の地域偏在解消への効果に対する考えについて、「非常に効果がある」と回答した医師は7.9%、「ある程度は効果がある」と回答した医師は45.7%となり、半数以上の医師が効果があると考える結果となりました。
○「地域別の診療報酬制度」効果があると回答した理由(フリーコメント)
・地域別の診療報酬制度があれば医師のいない地域の医師の給与が上がり、そこに医師が移動すると考えられるから。(60代/一般内科/勤務医[民間病院])
・地域ごとに細かく、頻度的にも数年ごとなど細かく設定を見直せば、ある程度効果は出てきそう。(30代/精神科/勤務医[診療所・クリニック])
・病院が医師を雇う場合や、開業を考える際の判断材料になると考えるから。(50代/眼科/勤務医[民間病院])
○「地域別の診療報酬制度」効果がないと回答した理由(フリーコメント)
・郊外の病院経営には役立つかもしれないが、それが医師の人件費に充てられるかは分からないし、労働環境的にも常勤医の確保が難しいのは変わらないだろうと考える。(40代/呼吸器内科/勤務医[健診施設や老健など])
・結局は医師がどこに住みたいか次第で、報酬の微々たる増加はあまり影響がないのではないか。(40代/総合診療科/勤務医[非常勤のみ、フリーランス)
・医師が働く場所を考えるときには、報酬よりも魅力的な地域を優先すると思うから。(50代/皮膚科/勤務医[非常勤のみ、フリーランス])
■地域医療を担う医師の思いをツナグために
近年、地域医療崩壊に関するニュースを目にする機会が増えています。地域医療は、医師不足や医師偏在、診療科偏在など多くの課題が挙がっており、少子高齢化の進行に合わせ、今後ますます深刻化することが予想されます。地域医療の崩壊は、その地域の住民が医療を受ける機会が「無くなってしまう」「限られてしまう」ことを意味します。私たちにご相談にいらっしゃる地方の病院やクリニックを経営する医師は、それらの重みや危機感を感じ、その地域に医療を残すために使命感をもって後継者を探していらっしゃいます。今回の調査では、3人に1人の医師が地方での勤務に関心を持っていることがわかりました。このような医師が、実際に地方で働くメリットや意義を、日本の医療の仕組みからつくっていくことが急務となっているのではないでしょうか。
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ 代表取締役
田中 宏典 (たなか こうすけ)
医療経営士1級。医療機器メーカー、楽天株式会社を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部長を経て、2019年、医業承継M&A事業を行う株式会社エムステージマネジメントソリューションズ(エムステージグループ)を設立。 医業承継コンサルタントとして数々の案件を担当。
■アンケート調査概要
・「医師の地域偏在」に関するアンケート
・調査対象:株式会社エムステージが運営する『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』に登録する会員医師
・調査日:2024年5月28日~6月4日
・調査方法:webアンケート
・有効回答数:470
※引用・転載時には「株式会社エムステージマネジメントソリューションズ」とクレジットを明記下さい。
■エムステージマネジメントソリューションズの『医業承継サポート』
医師紹介業21年のエムステージグループのノウハウと全国のネットワークを活用し、後継者不足に悩む医院と、開業を志す医師のマッチングを支援しています。事業承継・M&Aの知見はもちろん、医療経営士の資格を持つコンサルタントが、医業承継に関する一連の業務をサポートします。
▶『医業承継サポート』詳しくはこちら:https://shoukei.mplat.jp/service/
<サービスに関するお問い合わせ先>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ
お問い合わせフォーム:https://mstage-ms.jp/contact/
■株式会社エムステージマネジメントソリューションズ
病医院の円滑な事業承継を実現するためのソリューションを提供。医療機関のイノチを未来にツナグ事で、持続可能な医療の未来を実現していきます。
<会社概要>
商 号:株式会社エムステージマネジメントソリューションズ https://www.mstage-ms.jp/
代表者:代表取締役 田中 宏典
設 立:2019年10月
所在地:〒141-6005 東京都品川区大崎 2-1-1 ThinkPark Tower5 階
事業内容:医業承継M&A事業
本件に関するお問い合わせ先
エムステージグループ
ブランド戦略室 コーポレート広報(TEL: 03-6867-1170 MAIL:pr@mstage-corp.jp)